財団法人山形県埋蔵文化財センター
上敷免(じょうしきめん)遺跡
 5月第2週
  上敷免遺跡は、山形市北西部を北流する須川右岸の自然堤防上に位置しています。蔵王山系を源とする須川は、北流し最上川と合流します。須川は上流部の支川の中でも最大の流域をもつ河川であり、昔から大雨などにより地域に多くの被害をもたらしてきました。このために、川幅の狭い須川の下流部を拡幅するなどの河川改修事業が必要となってきました。今回の調査は河道の掘削工事等により消失する文化財を記録保存するためのものです。試掘調査の結果、上敷免遺跡では古代の遺構と遺物が検出され、河川に隣接した古代集落の存在が確認されています。河川は肥沃な土壌を運ぶ役割もしたようです。砂地の土壌を生かし、長芋やゴボウなどの作物の栽培が行われています。本遺跡の周囲には古墳時代の中山町三軒屋物見台遺跡、古墳〜古代の川前遺跡、平安〜中世までの達磨寺遺跡などがあります。
須川を北から見たようすです。流れはいつも少し濁っているように見えます。

調査区を対岸から見たところです。手前の葦と調査区の間に、隠れていてよくは見えませんが、須川が流れています。

重機によって表土の除去を行っています。古代の生活の痕跡(遺構)が確認される面まで掘り下げます。その深さは現在の地表面から50〜80pになります。

上段の写真の後におこなわれる行程です。
人力で地面を削り、平らにしていきます。土
色、土質の比較で遺構を見つけていきます

川幅の変化した様子があらわれました。川
の流れによって運ばれ、堆積した土砂のよ
うすが、幾重にも波状に現れています。生活
の跡はこの範囲にはないようです。

写真5の部分の断面です。土砂が幾層にも
堆積しています。自然堤防の形成されたよう
すがよくわかります。

今日は小雨が降っています。昨日までの面
を平らにする作業は休みです。こんな日は
調査区の縁辺の環境整備をしています。笹
を根際から刈り取っているところです。

晴れた日に撮影した月山と葉山です。月山
には雪がまだ溶けずに残っています。本格
的な遺構検出は来週からになりそうです。

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