高擶南遺跡 (6月第1週)

調査区の周囲に、土層の確認と排水を兼ねての溝を巡らします。
遺跡の層位は遺跡の歴史を物語ります。砂や泥などが堆積して低湿地を形成し、未分解の植物を含む泥炭層を形成しているところもあります。写真は土層観察のために、壁面を鎌で平らに削っているところです。発掘作業では、鎌をこのように使うこともあります。

本格的な発掘調査を行う前に、まず予備調査を行いました。遺跡の範囲、遺構・遺物の分布、検出面までの深さなどを調べるものです。予備調査は平成12年に行われました。写真は、予備調査後に埋め戻された埋め土を、取り除く作業を行っているところです。

出土した土器です。古墳時代の土師器(はじき)です。小型の高坏(たかつき)の一部です。

今週は碧玉の剥片が出土しました。昨年度の調査では、碧玉から加工された管玉(くだたま)の未成品が出土しています。

遺物包含層の掘り下げ作業です。

包含層から出土した土師器の小型丸底坩(つぼ)です。器台に載せて使われたようです。口縁の部分が破損しています。

調査区から望む月山と葉山です。月山(左)は標高1,980m、羽黒山(419m)、湯殿山(1,504m)とともに出羽三山と呼ばれ、古くから信仰されていました。山頂付近にはまだ雪が残り夏スキーのメッカです。
葉山(右・標高1,462m)は、奥の山に対して里に近い山、「端山」にちなむといわれています。古くは修験の山として信仰を集め、三代実録の白磐神を葉山地主権現に比定する説もあります。古くは葉山が出羽三山のひとつに数えられていた時代もあります。

夕暮れの風景です。夕焼けに山の端がくっきりと見える、月山、葉山です。

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