整理室からこんにちは(清水遺跡第1~7次)


村山市に所在する清水(しず)遺跡は、平成22~26年度に発掘を行った遺跡で、奈良時代から平安時代にかけての集落跡になります。


清水遺跡では、大量の土器が捨てられた溝跡が発見されています。
そこから出土した土器を洗ってみたところ、墨で文字が書かれているものがたくさんあることがわかりました。


これらは墨書土器(ぼくしょどき)と呼ばれ、出土状況から祈りや祭りに関して使用されたものと思われます。
中でも注目されるのは「縄」と書かれたものです。
「万」や「千」、「王」といった語句は、墨書土器に記される祈りの文字として多く出土するのですが、「縄」の字はほとんど出土しません。

全国的に同じ文字を探すと、富山県の任海宮田(とうみみやた)遺跡からのみ、大量に「縄」の墨書土器が発見されていました。

奈良時代から平安時代にかけての山形県では、国家的な開発計画のため全国からたくさんの人びとが移住させられたことがわかっており、北陸からの移民も多かったとされます。
この「縄」が意味するものが人名なのか地名なのかはわかりません。
とはいえ、ふたつの遺跡で見つかった「縄」の字のつながりは、富山から山形へやってきた人びとの存在を思わせる発見となりました。