石積み列南側の加工石材について、裏側の小石を除去したところ、釉薬を施した明治時代の瓦片が出土しました。加工石材の多くは背後の奥行きが短く、石垣にみられる石材の扱い方と異なります。
前週の断ち割り調査結果を踏まえ、近代の整地層と馬出(うまだし)に伴う堀跡の堆積層を重機で掘り下げています。堀跡の南側(馬出側)では、上層で崩落石が確認されました。
堀跡の土層断面を記録後、掘り残し部分を除去して崩落石の全容をあらわにしました。南北方向に大ぶりの石が7個ほど並んで出土し、馬出のある南側からではなく西側から落ちたような状況に見えます。
6区の調査が終了しました。手前(南側)は攪乱を受けてほとんど遺構が残っていませんでしたが、奥側(北側)には近世の大きな掘り込みがあり、瓦や陶磁器の破片が出土しました。
5区南側の調査も佳境に入りました。今週も遺構の精査と記録作業を進めました。
5区南側の石組の井戸跡を掘り下げました。瓦や陶磁器など近世の遺物が出土しています。埋土に鉄の棒を刺して深さを探ると、検出面から2m以上あるようです。
石組み井戸のすぐ隣に、もう一つ井戸跡を検出しました。断面から、井戸の石組を外して埋め戻したようです。
先週とはうって変わり、夏空が戻り、厳しい暑さのなかでの作業となりました。C区北では、中央部にある四隅に溝を有する古代の竪穴建物と思われる遺構の精査を行いました。この遺構は、残念ながら後世の耕作地の造成などで、ほとんど壊されていました。
26日には、日本および東アジアの先史考古学・民族考古学・人類環境史をご専門とする東京大学名誉教授の佐藤宏之先生が、調査指導として水林下遺跡にいらっしゃいました。3次調査で出土した台形石器や石斧の破片について、さまざまなご意見をいただきました。
佐藤先生からは、ほかの旧石器時代の遺跡には見られない、遺跡が鳥海山という火山のそばに立地するというユニークなことなどについて、発掘現場の観察を通してお伺いすることができました。
28・29日には、東アジアの先史文化の研究、東アジアの古代都市と仏教寺院の建設計画と思想などをご専門とする、東北学院大学教授の佐川正敏先生が、調査指導にいらっしゃいました。佐川先生からは、旧石器が残された当時の微地形に関することや、縄文時代や古代の遺構に関して、さまざまなご意見を伺うことができました。
佐川先生は、作業員さんと混じりながら、旧石器が出土する地層の掘り下げを行い、水林下遺跡の地層の感触を体験されておりました。
堀西側の遺構を完掘しました。井戸や溝、土坑等が見つかっています。
先週お伝えした遺構はやはり井戸跡でした。深さ2m以上で、今でも水が湧いています。
溝の底面付近から中世の遺物が出土しました。これまで鶴ヶ岡城跡の南側の地区では中世の遺物が多く見つかっていますが、北側で見つかるのは初めてです。
溝から出土した古瀬戸瓶子(へいし)と青磁碗です。15世紀頃のものです。
今週から後半の調査区の表土掘削が始まりました。炎天下での作業が続きます。
一部を深掘りし、地層を確認しながら作業を進めています。
夏休みこどもミュージアムを開催します。
山形県内から出土した各時代の遺物を展示します。
またマイギリ・ヒモギリなど様々な火起こしも体験できます。
チラシ(PDF)
日時:令和4年8月1日(月)~19日(金)
10時~16時
※土・日・祝日はお休みです。
なおお越しの際は、事前にお問い合わせください。
問い合わせ
(公財)山形県埋蔵文化財センター 総務課企画情報室
〒999-3246 山形県上山市中山字壁屋敷5608番地
TEL:023‐672‐5301 FAX:023‐672‐5586
mail:yac@yamagatamaibun.or.jp
梅雨に戻ったような天候のなかでの作業となりました。
晴れた日には、C区北で引き続き遺構精査を行いました。
石積み列の背後を直交方向に断ち割って、構築方法や下層の確認を行いました。金峯石(きんぼういし)の加工石材を並べた南側と、河原石のみを並べた北側の2箇所を掘り下げました。
北側の石積み列背後を断ち割ると、江戸時代の磁器片を含む堆積層(写真左側の下層)が確認されました。上部を覆う整地層からは幕末前後の瓦片が出土し、石積み列が近代に属すると判明しました。
近代整地層の下で確認された堆積層(写真左)の西側では、盛土で覆われた杭列(写真中央)が南北方向に並んでいました。堆積層は二の丸大手馬出の堀跡で、杭列が堀岸の乱杭と考えられます。
週末の大雨で、堀の部分にたっぷり水が溜まってしまいました。
堀西側の遺構の調査を進めました。堀の外側にある武家屋敷にあたる場所と考えられます。
直径1mほどの円形の遺構です。上半部の断面を記録して、ここからさらに掘り下げます。井戸跡でしょうか。
今週は雨が多くて実質二日間だけの作業となりました。
5区南半分と6区の遺構精査と記録作業を行いました。写真は5区南半分です。
大きな石組がある遺構を掘り下げました。
掘り下げても石組みが続いており、井戸跡で間違いないようです。
Yamagata Prefectural Center for Archaeological Research