今週は、調査区の南東にあたる3区の遺物包含層の掘下げを行いました。
3区の南側から、10cm程度の平たい川原石を並べて囲った、
石囲い炉が検出されました。
3区で検出された土器敷石囲炉(どきじきいしかこいろ)です。
石囲いの炉の中に縄文土器片がびっしり敷き詰められた炉跡です。
こうした炉の形は、縄文中期中頃に特徴的にみられるものです。
月曜日には、東北学院大学の谷口教授の引率のもと、
中国の重慶師範大学の楊華教授と蒋剛教授と大学院生2名が、本遺跡の発掘調査の見学にいらっしゃいました。
日本と中国の発掘調査の仕方の違いについて、とても興味深く見学されていました。
トータルステーションという測量機械を用いて、検出した遺構の輪郭を測量しました。
南側の斜面にあたる3区の2層を掘り下げました。
北隣の4区と同様に、3区でもたくさんの遺物が出土しました。
3区からは、本調査4体目となる土偶が出土しました。
やや小ぶりの土偶です。
18日と19日には、仙台の東北学院大学文学部歴史学科の佐川正敏教授の指導のもと、
本遺跡で学生さんの考古学実習が行われました。
暑い中での実習でしたが、土の中から出てきた遺物をみて、興味津々の様子でした。
今週は、3区の北側と4区の面整理を行いました。
調査区の標高が高い部分に、土坑や焼土などの遺構が多いことがわかりました。
4区から縄文時代中期の土器が出土しました。
4区では、縄文時代早期の尖底土器の底部が出土しました。
底が尖った土器で、地面に突き刺すようにして使われたと考えられています。
4区の西側には、大量の土器片や石器が分布していました。
先週、遺物の取り上げを行った後、今週はさらにその範囲を掘り下げました。
掘り下げたところ、遺物がさらに出土しました。
4区の南東部を掘り下げたところ、袋状土製品が出土しました。
本調査では、2点目の出土になります。
4区の南東部、袋状土製品が出土したところの近くで、土偶の足の部分が出土しました。
出土した土偶の足の部分を洗ってみると、表面に精緻な文様が施されていることがわかりまました。
元の大きさを考えると、かなり大きな土偶であった可能性があります。
今後の調査で、残りの部分が発見されることが期待されます。
4区の南東部の黒色土が拡がる範囲に、
地層の状態を調べるために、細長いサブトレンチを設けました。
サブトレンチの南側では、少なくとも3個の土器がその場所で潰れた状態で出土しました。
黒色土が拡がる範囲に、住居などの遺構がある可能性が考えられます。
4区斜面部分での遺物検出作業状況です。
足場が悪く、おびただしい数の土器片から足の置き場に苦労しながらの作業です。
足・腰がとても疲れます。。
4区斜面部での作業状況です。
一列に並んで、斜面上部から下へ向かって遺物を検出しながらその広がりをとらえているところです。
4区東側での遺物検出状況です。
土を少しずつ削るようにして掘り下げ、土器・石器などの遺物を見つけて行きます。
4区東側の斜面部で見つかった深鉢といわれる甕形土器の優品です。
底が抜かれているようで、もしかしたら甕棺として使われたものかも知れません。
縦型の石匙が出土した状況です。
石匙は携帯用の万能ナイフと言われています。
横型の石匙が出土した状況です。
土偶頭部、目鼻のしっかりした表現と丸く空いた口が特徴的な中期中葉の典型的な土偶です。
頭から5mほど離れた地点から出土した土偶体部。
広げた腕、女性を表す乳房、胸からお腹にかけての隆起線と沈線、
おへそと思われる穴などが特徴です。
先週に引き続き、4区の2~3層の掘下げを行いました。
今週は、たいへん蒸し暑い中での作業でした。
4区の南側では、縄文時代中期の遺物がたくさん出土しました。
4区の北側では、縄文時代中期の遺物が出る層位よりも下位から、中期よりも古い縄文時代早期の土器片がたくさん出土しました。
遺跡の北側には、縄文時代早期の遺構や遺物が広がっている可能性が高いことがわかりました。
4区の北側から出土した、押型文土器や条痕紋土器などの、縄文時代早期の土器片です。
これまでに出土した中期の土器よりも古いものです。
縄文時代早期の土器は、装飾された中期の土器と異なり、尖った底をした、シンプルな形をしています。
遺跡では、少なくとも、縄文時代早期に生活の舞台となっていたことがわかりました。
4区の南側の遺物集中部の中から、土偶の頭部が出土しました。
逆三角形の顔に、目、鼻、口が表現されてありました。
縄文時代中期に特徴的な土偶のかたちをしています。
27日には、東北学院大学の佐川教授と熊谷教授が来訪されました。
4区2層から出土した「土笛」です。
全体は鳥?形で、背中の中央に穴が穿たれていました。
内部は中空です。
出土土器の清掃をしています。
刷毛やブラシ、竹べらなどを用いて慎重に進めています。
出土した土器をブラシを使って洗浄をしています。
4区2層中の土器出土状況。
おびただしい数の土器が斜面上部から出てきました。
4区3層での土器出土状況です。
形がやや残っていた例で、無紋地に大ぶりな渦巻文が特徴的です。
遺物出土状況の写真撮影をしています。
左手にはカラーチャートを持っています。
現地の色彩が忠実に再現できるようにするための方法です。
4区の作業風景:遺構検出のため地山までの掘り下げを行っています。
木の根がじゃましてなかなかはかどりません。
調査4区の斜面に点在する切り株は調査の妨げになることから、
抜根チームを組んで一つ一つ時間をかけて取り除いていきます。
尾根の頂部に並ぶ大型土坑(どこう)。
東側には住居跡もありそうです。
切り株除去の際に根の周りを掘り下げたら大きな土器の破片がまとまって出ていきました。
縄文中期中ごろの典型的な土器ばかりです。
今週の調査で見つかった石器です。
石匙(いしさじ)や石箆(いしべら)、磨石(すりいし)や凹石(くぼみいし)など、
一通りの道具が揃っていたようです。
1区中央部の面整理作業状況です。
1区中央部西側の面整理作業状況
1区中央部西側の面整理作業。
削った土をキャリアダンプで効率よく搬出します。
2区尾根部分の面整理作業。
この部分は地盤までが浅くてとても硬く、掘り下げるのが大変でした。
1区西側縁の面整理状況です。
ここまで来ればもうすぐ1区の面整理は終了です。
週の半ばから連日の雨、面整理が終わったばかりの1区を保護するために、
前面にシートを敷き詰めました。
4区の尾根上、平坦面から出土した縄文中期中葉の土偶です。
今回の調査では初めて出土例となるものです。
調査区南から撮影した遠景写真です。
今週は、1区の面整理作業をしました。
すでに、真夏のような暑さのなかでの作業でした。
調査区のすぐ近くに、器材を置くための仮設倉庫を設置しました。
発掘調査に従事する元大工さんが、あっという間に組み立てていきました。
調査区内には、切り株がたくさんあります。
ひとつひとつ切り株周囲の土を取り除き、チェーンソーを使って格闘しながら、切り株を切り倒しています。
調査区の南西側の1区の面整理をしました。
頂部付近で、遺構(大型土壙)と思われる痕跡が確認されました。
調査区の南側には、溜池があります。
溜池には、たくさんの動植物が生息しています。
写真は、「ショウジョウトンボ」。
今週くらいから、姿を現すようになりました。